はじめに
ナッシュビルといえばカントリーミュージックの聖地として知られていますが、近年はクラフトビールの街としても注目を集めています。その中でも、地元で圧倒的な人気を誇るのが「Bearded Iris Brewing(ビアーデッド・アイリス・ブリューイング)」です。この記事では、日本人旅行者がナッシュビルを訪れる際にぜひ立ち寄りたいBearded Iris Brewingについて、創業ストーリーからアクセス方法、地元での人気の理由、日本人におすすめのビール、タップルームでの楽しみ方、現地マナー、日本での入手可否まで、徹底的に解説します。ナッシュビル観光の新たな魅力を発見し、旅程に組み込みたくなるような実用的な情報をお届けします。
Bearded Iris Brewingの創業ストーリーと理念
創業者と設立の背景
Bearded Iris Brewingは、2015年にテネシー州ナッシュビルのGermantown(ジャーマンタウン)地区で、Paul Vaughn(ポール・ヴォーン)氏とKavon Togrye(カヴォン・トグリー)氏によって創業されました。二人は幼少期からの親友であり、共にビール造りへの情熱を持っていました。ヴォーン氏はジョージア州のSweetWater Brewingでの勤務経験もあり、トグリー氏はテネシー大学で法学を学んだ後、地元ナッシュビルでの起業を目指していました。
創業のきっかけは、二人が学生時代から「自分たちの理想のブルワリーを作りたい」と語り合っていたことに始まります。自宅でのホームブルーイングや、夜な夜なプールバーでのビール談義を重ね、ついにビジネスプランを練り上げて投資家を募り、現在のGermantownに理想の物件を見つけて開業に至りました。
名前の由来と理念
「Bearded Iris(ビアーデッド・アイリス)」という名前は、テネシー州の州花である「ジャーマンアイリス(ドイツアヤメ)」に由来しています。特に「bearded(ひげ状の)」アイリスは、世界中で親しまれている花であり、多様性と美しさの象徴です。ブルワリーのロゴやビールのネーミングにも、アイリスの品種名や花の特徴が反映されています。
創業理念は「Cultivate Variety(多様性を育む)」です。これは、伝統的なビールスタイルにとらわれず、ホップや酵母、原材料の組み合わせによって無限の可能性を追求するという姿勢を表しています。ビール造りは「アートとサイエンスの融合」と捉え、常に新しい味わいと体験を提供することを目指しています。
近年の所有権と変化
Bearded Iris Brewingは、2021年にクラフトブルワリーのコレクティブ「IndieBrew」に参加し、2025年にはテネシー州最大手のクラフトブルワリー「Wiseacre Brewing Company」によって買収されました。ただし、ブランドや経営陣、ナッシュビルのタップルームはそのまま維持され、独立した運営が続けられています。生産拠点の一部はWiseacreの最新設備に移行し、今後も高品質なビールと地元コミュニティへの貢献を両立させていく方針です。
地元での人気とコミュニティとの関係
ナッシュビルでの存在感
Bearded Iris Brewingは、ナッシュビルのクラフトビールシーンを代表する存在として、地元住民や観光客から絶大な支持を集めています。特にGermantown地区は、歴史的な街並みと新しいレストラン・カフェ・ショップが共存するトレンディなエリアであり、Bearded Irisはその中心的なスポットです。
ブルワリーのタップルームは、ビール好きが集う「サードプレイス」として機能しており、地元の人々が気軽に立ち寄れる「近所の水飲み場」として親しまれています。週末やイベント時には多くの人で賑わい、ナッシュビルの新しいカルチャー発信地となっています。
コミュニティイベントと地域貢献
Bearded Iris Brewingは、毎年3月に創業記念イベントを開催し、新作ビールのリリースやライブミュージック、地元フードベンダーとのコラボレーションなど、地域密着型のイベントを多数実施しています。2025年の9周年イベントでは、トロピカルIPA「Wave Craze」のリリースパーティーが行われ、地元の人気フードトラックやカクテルバーも参加し、大きな盛り上がりを見せました。
また、地元のランニングクラブやサイクリンググループがゴール地点として利用したり、ボードゲームイベントやスポーツ観戦会、チャリティ活動なども積極的に行われています。2020年からは「1% for the Planet」に加盟し、売上の一部を環境保護活動に寄付するなど、社会貢献にも力を入れています。
地元メディアや口コミでの評価
ナッシュビルのグルメ・観光系メディアやビール専門誌でも、Bearded Iris Brewingは「ナッシュビルで最も注目すべきブルワリー」「IPAの王者」として高く評価されています。特に看板ビール「Homestyle」は、地元のビールランキングで常に上位にランクインし、ビール愛好家の間で「ナッシュビルに来たら絶対に飲むべき一杯」として語られています。
アクセス情報:ナッシュビル市内からの行き方・住所・営業時間
立地と周辺環境
Bearded Iris Brewingの本拠地は、ナッシュビルのGermantown地区に位置しています。住所は「101 Van Buren St, Nashville, TN 37208」。ダウンタウンから北へ約2km、車で5〜10分、徒歩でも20〜30分程度の距離です。周辺にはナッシュビルファーマーズマーケット、テネシー州立博物館、Bicentennial Capitol Mall State Parkなどの観光スポットが点在し、観光ルートにも組み込みやすい立地です。
アクセス手段
- 車・レンタカー:ダウンタウンから車で約5〜10分。ブルワリーには広い駐車場が完備されていますが、週末やイベント時は混雑するため早めの到着がおすすめです。
- ライドシェア(Uber/Lyft):ナッシュビル市内ではUberやLyftが一般的。ダウンタウンや主要ホテルからの利用が便利です。
- 公共交通機関(WeGo Public Transit):バス路線も利用可能。最寄りのバス停から徒歩圏内ですが、時刻表や路線図は事前にWeGoの公式サイトで確認しましょう。
- 徒歩・自転車:Germantownは歩きやすいエリアで、ナッシュビル・グリーンウェイ(遊歩道)沿いに位置しているため、散策やサイクリングの途中に立ち寄るのもおすすめです。
営業時間
| 曜日 | 開店時間 | 閉店時間 |
|---|---|---|
| 月〜木 | 13:00 | 22:00 |
| 金・土 | 12:00 | 22:00 |
| 日 | 12:00 | 20:00 |
※イベント時や祝日は営業時間が変更になる場合があります。最新情報は公式サイトやSNSでご確認ください。
訪問時の注意点
- キャッシュレス決済のみ:現金は利用できません。クレジットカードやデビットカード、Apple Payなどの電子決済が必須です。
- 年齢確認:アメリカでは21歳未満の飲酒が禁止されているため、入店時にパスポートなどの写真付きID提示が求められます。
- 混雑時間帯:金曜・土曜の夕方〜夜は特に混雑します。ゆっくり楽しみたい場合は平日や昼間の訪問がおすすめです。
- 駐車場:広い駐車場がありますが、週末やイベント時は満車になることも。近隣のコインパーキングや路上駐車も利用可能です。
- ペット・子連れOK:パティオ席は犬連れOK。子ども連れも歓迎ですが、店内は醸造設備が近いため安全にご注意ください。
ナッシュビル観光ルートへの組み込み方
Germantownはナッシュビルの観光拠点としても人気が高く、Bearded Iris Brewingは観光ルートに組み込みやすい立地です。以下のようなプランがおすすめです。
- 午前:テネシー州立博物館やBicentennial Capitol Mall State Parkを見学
- 昼食:ナッシュビルファーマーズマーケットで地元グルメを堪能
- 午後:Germantownのカフェやショップを散策
- 夕方:Bearded Iris Brewingでクラフトビールを楽しむ
- 夜:近隣のレストラン(Butchertown Hall、Rolf and Daughtersなど)でディナー
徒歩や自転車での移動も快適なエリアなので、観光とグルメ、クラフトビール体験を一度に満喫できます。
日本人旅行者におすすめのビール銘柄とその理
日本人の口に合うポイント
日本人旅行者がアメリカのクラフトビールを楽しむ際、「苦味が強すぎない」「フルーティーで飲みやすい」「爽やかな酸味や軽やかさがある」などの要素が好まれる傾向があります。Bearded Iris Brewingには、まさにこうしたニーズに応えるビールが多数揃っています。
おすすめ銘柄と特徴
1. Homestyle(ホムスタイル)
- スタイル:NEIPA(ヘイジーIPA)
- ABV:6.0%
- 特徴:モザイクホップのみを使用し、グレープフルーツやストロベリー、フルーツティーのような香り。苦味は控えめで、ジューシーかつ柔らかな口当たり。アルコール度数も高すぎず、何杯でも飲みたくなる「クラッシャブル」な一杯。
- おすすめ理由:日本のIPAファンはもちろん、普段ビールが苦手な方にも好評。現地でも「ナッシュビルNo.1 IPA」と称される看板商品です。
2. Pep Talk(ペップトーク)
- スタイル:ピルスナー/ラガー
- ABV:4.2%
- 特徴:すっきりとした飲み口と軽快なボディ。ホップの香りは控えめで、どんな料理にも合わせやすい万能型ラガー。
- おすすめ理由:日本の大手ビールに近い飲みやすさで、クラフトビール初心者や食事と一緒に楽しみたい方に最適です。
3. Flamingo Road(フラミンゴ・ロード)
- スタイル:フルーツサワー
- ABV:5.0%
- 特徴:ストロベリーとラズベリーを贅沢に使った、爽やかな酸味とフルーティーな甘み。見た目も鮮やかでSNS映え抜群。
- おすすめ理由:酸味と果実感が絶妙で、ワインやカクテル好きの方にもおすすめ。暑い季節や食後のデザート感覚でも楽しめます。
4. Wave Craze(ウェーブ・クレイズ)
- スタイル:トロピカルIPA
- ABV:5.2%
- 特徴:パッションフルーツとパイナップルのトロピカルな香りとジューシーな味わい。苦味は控えめで、爽快感が際立つ。
- おすすめ理由:フルーツ感が強く、ビールの苦味が苦手な方にも飲みやすい。限定リリースのため、イベント時などに出会えたらぜひトライを。
5. Pep Talk(ペップトーク)やForecast(フォーキャスト)などのラガー・ピルスナー系
- 特徴:軽やかでクリアな味わい。日本のビールに近いスタイルで、食事との相性も抜群。
- おすすめ理由:IPAが苦手な方や、食事と一緒に楽しみたい方にぴったり。
季節限定・コラボ・缶販売情報
Bearded Irisでは、季節ごとに限定ビールや他ブルワリーとのコラボ商品も多数リリースされています。缶ビールはタップルームや一部の酒販店で購入可能。限定品はSNSや公式サイトで随時告知されるので、訪問前にチェックしましょう。
タップルームでの楽しみ方と現地マナー
タップルームの雰囲気
Germantownのタップルームは、広々とした開放的な空間と、醸造設備を間近に眺められるライブ感が魅力です。アンティーク調の家具やシャンデリア、アート作品が並び、落ち着いた中にも遊び心のあるインテリア。パティオ席はペット同伴OKで、晴れた日は屋外でのんびりビールを楽しむ人々で賑わいます。
試飲セット・フライトについて
Bearded Iris Brewingでは、一般的な「ビールフライト(試飲セット)」の提供はありませんが、ハーフパイント(半量)での注文が可能です。気になるビールを少しずつ試したい場合は、スタッフに「Half pour please」と伝えましょう。スタッフはビールの特徴やおすすめを丁寧に説明してくれるので、気軽に相談できます。
フードの持ち込みと現地グルメ
- フード持ち込みOK:Germantownのタップルームにはキッチンがないため、外部からのフード持ち込みが自由です。近隣のレストランやデリ、ファーマーズマーケットで購入した料理を持ち込んで、ビールと一緒に楽しめます。
- フードトラック:週末やイベント時には地元の人気フードトラックが出店することも。最新情報は公式SNSでチェックしましょう。
- 食器類:持ち込んだフード用の食器やカトラリーは自分で用意する必要があります。
混雑時間帯と席の確保
金曜・土曜の夕方〜夜は特に混雑し、席が埋まりやすいです。ゆっくり過ごしたい場合は平日や昼間の訪問、または開店直後の時間帯がおすすめです。予約は受け付けていませんが、大人数の場合は事前に連絡すればテーブルを確保してもらえる場合もあります。
支払い方法・チップ文化
- キャッシュレス決済のみ:現金は使えません。クレジットカードやApple Payなどを用意しましょう。
- チップ:アメリカではサービスに対して15〜20%程度のチップが一般的です。タップルームでも会計時にチップ欄が表示されるので、満足度に応じて適切な額を入力しましょう。
現地マナーと文化的ポイント
- 年齢確認:21歳未満は飲酒不可。パスポートなどのID提示が必須です。
- 節度ある飲酒:クラフトビールはアルコール度数が高めのものも多いので、飲み過ぎに注意しましょう。
- スタッフや他の客への配慮:大声や席の独占は避け、スタッフには丁寧に接しましょう。ビールの質問やおすすめを聞くのは大歓迎です。
- セルフサービス:食べ終わった後のゴミやグラスは自分で所定の場所に返却するのがマナーです。
子連れ・ペット連れ
- 子ども連れOK:家族連れも歓迎されていますが、醸造設備が近いため安全に注意しましょう。
- 犬連れOK:パティオ席は犬同伴可。リードを付けて、他のお客さんへの配慮を忘れずに。
写真撮影・SNS映えスポット
Bearded Iris Brewingは、店内外にアート作品やロゴ入りの壁画(ミューラル)があり、写真撮影やSNS投稿にも最適です。特にロゴマークの前やパティオ席、カラフルなビールのグラスは「映える」ポイント。撮影は自由ですが、他のお客さんの迷惑にならないよう配慮しましょう。
日本での入手可否と輸入情報
日本での正規流通
2025年11月現在、Bearded Iris Brewingのビールは日本国内での正規流通は非常に限定的です。大手インポーター(例:カーディナルトレーディング、Unusual Holdingsなど)がアメリカのクラフトビールを輸入していますが、Bearded Irisの定番商品が常時ラインナップされているわけではありません。
- オンラインショップ:一部のインポーターやクラフトビール専門店で、限定的に缶ビールが入荷することがあります。入荷情報は各社のSNSや通販サイトで随時告知されるため、こまめなチェックが必要です。
- ビアフェス・イベント:日本国内のクラフトビールフェスやポップアップイベントで、Bearded Irisのビールが提供されることも稀にあります。
代替案・似たスタイルのビール
日本国内でNEIPAやヘイジーIPAを楽しみたい場合、以下のようなブルワリーや商品が代替としておすすめです。
- 日本国内のクラフトブルワリー:うしとらブルワリー、DD4D、West Coast Brewing、VERTEREなどがNEIPAやヘイジーIPAを積極的に展開しています。
- 海外輸入ビール:Tree House Brewing、Other Half、Monkish、Modern Timesなど、アメリカの有名NEIPAブルワリーのビールが限定入荷することもあります。
日本への持ち帰り・個人輸入
アメリカ現地で購入した缶ビールを日本に持ち帰る場合、航空会社や税関の規定に従い、適切な本数・梱包で持ち帰りましょう。クラフトビールは鮮度が命なので、できるだけ早めに消費するのがおすすめです。
まとめ:Bearded Iris Brewingを旅程に組み込むべき理由
Bearded Iris Brewingは、ナッシュビルのクラフトビール文化を象徴する存在であり、地元コミュニティとの強い結びつき、多様なビールラインナップ、開放的で居心地の良いタップルーム、観光スポットへのアクセスの良さなど、旅行者にとって魅力が満載です。
- 創業ストーリーや理念に触れ、現地ならではの体験ができる
- 日本人の味覚にも合う飲みやすいビールが豊富
- 観光ルートに組み込みやすい立地とアクセスの良さ
- フード持ち込みやペット同伴OKなど、自由度の高い楽しみ方が可能
- 現地マナーや文化を知ることで、より深くナッシュビルを体感できる
- 日本での入手が難しいため、現地での体験が特別な思い出になる
ナッシュビルを訪れる際は、ぜひ旅程にBearded Iris Brewingを加えて、アメリカ南部ならではのクラフトビール体験を満喫してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 英語が苦手でも大丈夫?
スタッフはフレンドリーで、ビールの注文も「This one, half pour please」など簡単な英語でOK。メニューは英語ですが、写真や説明もあるので安心です。
Q2. お土産用のグッズや缶ビールは買える?
タップルームではロゴ入りグラスやTシャツ、缶ビールの販売もあります。お土産や記念にぜひどうぞ。
Q3. 子ども連れやペット連れでも楽しめる?
パティオ席は犬同伴OK、子ども連れも歓迎されています。ただし、醸造設備が近いため安全に注意しましょう。
Q4. 他の観光スポットと組み合わせるなら?
Germantown周辺にはファーマーズマーケットや州立博物館、Bicentennial Capitol Mall State Parkなどがあり、徒歩圏内で観光とグルメ、ビール体験を一度に楽しめます。
おわりに
ナッシュビルのBearded Iris Brewingは、クラフトビール好きはもちろん、初めての方や家族連れ、グルメ旅を楽しみたい方にもおすすめのスポットです。日本ではなかなか味わえない本場のNEIPAや多彩なビール、地元コミュニティとの温かな交流、そしてナッシュビルならではの雰囲気を、ぜひ現地で体験してください。旅の思い出に残る特別な一杯が、きっとあなたを待っています 。

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